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英中の溝、一段と 香港、5Gであつれき―新外交は自由・人権重視

 【ロンドン時事】英政府は先週、次世代通信規格「5G」通信網からの中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)排除を決定した。中国の「香港国家安全維持法」制定を受け、香港に住む約290万人の「英海外市民」を対象に移住受け入れ拡大を打ち出したばかりで、中国は決定に強く反発し、報復を示唆した。キャメロン政権(2010~16年)で「黄金時代」とされた英中関係は様変わりし、溝が一段と深まっている。
英国は1月、ファーウェイの限定的参入を認めたが、米政府が5月、米国の技術が使われた半導体製品の同社への販売を海外製造分も含め禁止したのを受け、方針転換した。中国製の代替品が使用されれば安全性が担保できないというのが理由だ。米国の圧力が作用したことも背景にある。

中国、「必要な措置取る」と警告 英国のファーウェイ排除で

 英国はキャメロン保守党政権下、中国との経済関係強化が政治的自由の拡大や人権状況の改善を促すと期待した。だが、貿易や中国の対英投資が急拡大する一方、少数民族ウイグル族弾圧や南シナ海への進出、香港への統制強化と続いた。「中国は国内で一段と抑圧的に、対外的により威圧的になった」(英誌エコノミスト)のが現実。英国は新型コロナウイルス大流行の一因が中国の初動のまずさにあるとみて、さらに不信を強めた。
 欧州連合(EU)を離脱した英国は「グローバル・ブリテン」を旗印に新たな外交戦略の構築を進めるが、自由や人権をめぐって強い姿勢で臨む方針が明らかになりつつある。下院の与党・保守党内には4月、対中強硬派の議員約20人でつくる「中国リサーチ・グループ」が発足し、政権への圧力を強め始めた。
 政府は6日、深刻な人権侵害に対処する独自の制裁制度をEU離脱後初めて導入し、ロシアや北朝鮮などの計49の個人・組織を制裁対象に指定した。ラーブ外相は議会で「英国は世界の善のため、さらに強力な力になる決意だ」と強調。中国関係者への制裁の可能性も排除しなかった。
 対中強硬姿勢を懸念する声も少なくない。ハモンド元財務相はBBC放送に「われわれは世界中で貿易関係を構築する必要がある。中国は英国にとって3番目に大きな貿易相手だ」と述べ、関係悪化の回避を訴えた。